女性はそれほどおしゃべりではない?

女性は男性よりもおしゃべり?
というのは経験的にもよく知られていることですが、
実はそれほど違いはないのでは?
という研究がサイエンス誌に掲載されました。

Are women really more talkative than men?
Mehl MR, Vazire S, Ramirez-Esparza N, Slatcher RB, Pennebaker JW.
Science. 2007 Jul 6;317(5834):82.

この研究では、米国とメキシコの17~29歳の大学生の男女計396人を対象に、新しく開発した12.5分ごとに30秒間だけ会話を録音するレコーダーを2~10日間着用させ、起きている間中作動させました。

レコーダーを回収して会話を文字に起こして単語数を数えた結果、1日平均17時間の起床時間中に、男性は1万5669語、女性は1万6215語となり、女性がやや多かったものの統計学的に有意な差は得られませんでした。

これまでにも、言葉数に関する男女差の検討は報告されていますが、言葉の測定方法、対象者数等に問題があり、確立した見解は得られていませんでした。本研究は、1998年から2004年という長期間にわたって、根気よく多人数の症例を検討できたことが評価されるでしょう。

しかしながら、本研究の問題点として、対象者が大学生に限っているということがあります。
我々が笑いの頻度と性・年齢との関係を質問紙法で調査したところ、
女性は男性よりも笑う頻度が多いですが、20歳代ではそれほど大きな差はなく、
むしろ年代が上がるにつれてその差が明確になっていました。
したがって、おしゃべりに関しても、年代が上がるにつれて差が出てくる可能性が考えられます。
また、同じ研究を日本人でやったらどうなるかという点も疑問がわきます。

例えば、ドラマとか見ていても、若い年代では男女ともにほぼ同じようにおしゃべりしていますが、
いわるゆお父さんは無口ですよね。
日本人では男女差がきれいに出るかもしれません。

ということで、自分にとってこの研究で一番興味があるのは、
研究で使われたレコーダーが市販されているのかどうかという点なのでした。
このレコーダーを使って日本人の笑いの頻度を調べてみたいです。

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唾液中コルチゾール値が将来のうつを予測する?

副腎皮質ホルモンの1種であるコルチゾールはストレスやうつで上昇することがわかっています。
しかしながら、元々コルチゾール値が高い人がうつになりやすいかどうかはわかっていませんでした。
そんな疑問のヒントになる論文が米国精神医学誌の4月号に公表されました。

Increased waking salivary cortisol levels in young people at familial risk of
depression.
Mannie ZN, Harmer CJ, Cowen PJ.
Am J Psychiatry. 2007 ;164(4):617-21.

この研究では、両親にうつ病の既往があるが、自分にはこれまでうつ症状を経験したことのない若者49名と、両親のうつ病既往も自分のうつの既往もない55名を対象として、勤務日および休日の起床30分以内に採取した唾液中のコルチゾール値を比較しました。

その結果、勤務日、休日両方ともに、両親にうつ病の既往がある参加者の方が、既往のない参加者に比べて起床直後の唾液中コルチゾール値が高値でした。また、

両親にうつ病の既往があるということは、うつの危険因子の一つです。それと唾液中コルチゾールが関連したということは、唾液中コルチゾールが将来のうつ病を予測する可能性もあるわけです。

年間の自殺者数が3万人を超えるわが国において、自殺の最も重要な危険因子であるうつをスクリーニングすることが重要視されています。もし、うつを予測する身体的な指標があって、それが簡便に測定できるものであれば、とても有用な指標になり得ると考えます。

唾液中コルチゾール値はそうした指標の候補であり、今後、唾液中コルチゾール値が高いことが本当に将来のうつと関連するかどうかの研究が期待されます。

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久しぶりの更新

なんと、昨年9月以来の更新!
10月に大阪での仕事が始まり、
年末から正月にかけてにミネソタから大阪に引越し。
その後も、ミネソタの仕事と大阪の仕事に追われ、
あのゆとりあるミネソタでの生活はどこに行ってしまったのか!?

こんなんではいけない!
と自己反省するとともに、余裕をもった研究生活を維持するべく、
ブログを再開することにしました。

とは言っても、本当に余裕があるときだけですが…

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あっぱれスペイン!やせ過ぎのモデルに出演規制

日本人の肥満は年々増えている!
といっても、これは中年以降のお話。
10代の特に女性においては、やせている方がCool!
と考える人が多いようです。

もちろん、これには社会的な影響が大きいでしょう。
20年前くらいまでは、ぽっちゃりしたアイドル(榊原郁恵、河合奈保子とか…って年がばれてしまう)
が多かったのに比べ、
今ではアイドルと言われる女性でぽっちゃりしている人はほとんどいません。

これは、世界的にも同じような風潮であるようですが、
スペインからは、こうした風潮にストップをかけようとする試み?が報告されました。

以下Yahooの時事通信からの引用です。

【こぼれ話】やせすぎモデルはファッションショーへの出演禁止=マドリード
 
【マドリード8日】8日付のスペイン日刊紙ABCによると、極端にやせすぎのファッションモデルは若い女性に誤ったメッセージを伝える可能性があるとして、マドリードで今月開催されるファッションショーでは、やせすぎモデルの出演を禁止した。

マドリード市はこのほど、昨年の同ショーに出演したモデルの約3分の1について、体重が少なすぎるとの理由で今回の出演を断った。市当局は保健機関と協力してモデル向けに最低限の肥満度指数(体重と身長の割合)を提示することにしている。

ABCによれば、ファッションショーにこうした規制が課されたのは初めてという。ただ、最近バルセロナで開催されたウエディングドレスの展示会で、ドレスサイズが38(英国では10、米国では8)未満のモデルの出演を禁止した例があるという。昨年のファッションショーでは、モデルが太れば仕事に差し支えると主張してひと悶着(もんちゃく)起こしている。

ファッションショーの主催者側は、モデルへの規制によって一般の人たちがファッション、とりわけファッションショーを拒食症の増加と結びつけて考えないよう望むとし、ショー開催を控えて気をもんでいる。同ショーは9月18日から22日まで開かれる。

以上、引用終わり。

これまで体重が少し多めでモデルになるのをあきらめていた方には朗報です(笑)。

この出演規制を出した市当局の責任者は医療関係者なのでしょうか?
モデルがぽっちゃりしてくれば、それにあこがれる人たちもぽっちゃりしてくるのか?
少なくとも、これが全世界に広まれば、やせていることが良いことという社会的な評価を変えるきっかけにはなってくれるかもしれません。

ところで、実際にどの程度の肥満指数の人が出演禁止になったのか気になります。
米国のAP通信のニュースでこの記事をみるとちゃんと載っていました。

実際には、肥満度:Body mass index(体重を身長の二乗で除したもの)が18は必要だということです。
すなわち、身長が175cmであれば、1.75×1.75×18=55.125といことで、
56kg程度なければファッションショーに出演できないということになります。
(一般の人でも肥満度が18程度のやせは結構いらっしゃるので、これはかなり厳しい基準だとは思いますが…)

スペインで人気のあるモデルであるEsther Cañadasさんの肥満度はわずかに14!
はっきり言ってこれは治療が必要なレベルのやせだと思います。

疫学的にも、やせている人の死亡率は高いと言う結果は欧米でも我が国でも同様にみられていますので、
スペインの当局が言っているように、少なくとも18は維持するようにしましょう。
(もちろん、太りすぎも良くないことは明らかですが…)

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Minnesota State Fair 食べある記

例年Labor Dayが近づくと始まるのがミネソタ・ステート・フェア(Minnesota State Fair)です。
要するにミネソタ州の農業や産業などの見本市みたいなもの?でしょうか。
牛、馬、羊、ヤギ、豚、鶏、鴨等家畜といわれる動物達がたくさん見れて、
たくさんの屋台が出現します。
今年の開催日は8月24日から9月4日までということです。

昨年に引き続き、今年も行ってみましたが、今年はほとんどの時間を食べ歩きに費やしました。
せっかくなので、お店(食べ物?)の紹介とここは行った方がよいだろうという個人的な感想を述べたいと思います(ミネソタ在住者以外の人にはほとんど役に立たない情報かもしれませんが…)

本日最初に食べたのは、Heritage Squareにある自家製ポテトチップス。
特に美味しいというほどのものではありませんでした。
塩味が薄いので、チップスに塩味を求める人には不向きだと思います。

次に、同じHeritage Squareにあり、看板に大きく「Turkey Drumsticks」と書いてあり、ギャートルズに出てきそうな(古い!)もも肉の看板が目に付くお店で、まわりの人がよく食べているターキーのもも肉を焼いたものを食べました。値段は7ドル。大きさはとりもも肉の4倍はあるでしょう。日本ではまず食べる機会がほとんどないである物の一つなので、チャレンジしてみましたが、みかけほど美味ではありませんでした。ターキーの匂いが苦手な人には不向きです。まあ、アメリカに住んだ記念にはなると思います。

その次は、「Onion in Bloom」で、たまねぎをお花の形にフライにしたものを食べました。
値段は6.5ドル
これもステート・フェアでは何件かのお店で扱っているものですが、
揚げたては結構美味しいですし、量がかなり多いので4人くらいで食べてちょうどよい量だと思います。
ただ、時間が経ってから食べたら、カラっていう感じがなくなり少し油がきつい感じがしました。

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次はステート・フェアでは定番のフレンチ・フライ
この店は黄色い看板に「FRESH FRENCH FRIES」の文字がやらら目立つのですぐわかります。
結構いつでも人が並んでいます。
いくつかあるサイズから5ドルのものを選択。量はファーストフードのMサイズの4倍くらいはあるでしょう。
揚げたてで結構美味しかったです。冷めるまえに食べ終えてしまったので、冷めた後の味は不明。
フレンチ・フライ好きなら是非お試しください。


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「Chees Curds」というお店は、ステート・フェアでは有名なお店のようです。
かなりの人が並んでいました。
チーズを揚げたものが4.5ドル。量は一口大のチーズを揚げたものが10個くらい。一人でも十分に食べきれる量です。うわさに違わず、揚げたてのチーズはかなりいけます。
ただし、カロリーを気にする人にはお勧めできませんが…


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Chees Curdsのすぐ近くに、同じようにいつも人だかりが出来ているお店があります。
「CORN ROAST」の看板が目につくこのお店では焼きたてスイート・コーンが売っています。
値段は大きめのコーンが1本2.5ドル。
バターの香りがほんのりするこのコーン。一口食べればコーンの甘みが口の中に広がります。
これは、並んでも食べる価値が十分にあると思います。


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最初のデザートは「HONEY ICE CREAM」。
カップで4ドルはこちらではちょっと高めの値段設定です。
量はシングルサイズのアイスが3つ分くらい。
ハチミツの入ったバニラアイスにひまわりの種が入っているのですが、
意外とこれは相性がよいと思います。
アイスクリーム好きなら試す価値あり。


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次は、こちらではめずらしいシュークリームの専門店です。
「Cream Puffs」の看板につられて購入。
1つ3ドルはちょっと高いのでは?
なんとシューの中身はホイップクリームのみ!
はっきり言って日本人なら、一人で1つ食べたらホイップクリームにうんざりするでしょう。
やっぱり、カスタードクリームが入っていないシュークリームは日本人には向かないような気がします。
どうしても、シュークリームを食べたい!と思う人のみにお勧めです。


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最後は、これまた何列にも並んでいる人が多かったクッキー屋さん。
「SWEET MARTHA'S」のチョコレートチップクッキー。
レギュラー4ドル。ラージ5ドル、JARに入っているのが12ドルです。
ラージでクッキーが12枚くらい。JARに入っているのは48枚とのことなので、
大勢で買った方がお得かも(って、そう何枚も食べるものではないでしょうが)。
出来立てのチョコレートチップクッキーは、温かくて、チョコレートが微妙に溶けていて、
かなり美味しいです。(出来立てだからということだけかも知れませんが…)
これも食べる価値ありです。

今回紹介しなかったお店として、ステート・フェア内のチャイニーズ・レストランがありますが、
少なくとも酢豚、ベジタブルのソテーともに今ひとつでした。
その隣にあった、ワニのフライの方が試す価値があるかもしれません。
あと、珍しいところでは、バッファローやエルクのハンバーガーとかもあります。
昨年食べた、ポテトの輪切りをフライしてチーズをかけたものは油がきついのでたくさんは食べれません。
ポークチョップ、ホットドックはどこもまあまあだと思いますが、別にステート・フェアでなくても食べれるでしょう。

ということで、個人的な感想としては、

ミネソタ・ステート・フェアに行ったら、

是非食べてほしいものの第1位は、CORN ROAST
次に、Chees Curds、そして、デザートはチョコレートチップクッキーということになりました。
そうそう、1ドルでお代わり自由のMilk Barも必ず行くようにしましょう。

今年のステートフェアもあと3日のみ。
これをみてから行く人はまずいないと思いますが、
行けば、「ミネソタってこんなに人がいたんだー」
と思うことは間違いないです(普段はそれほど混雑しているところになかなか出くわすことはないのですが…)。


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男女の産み分けは本当に可能か?

もうすぐ秋篠宮殿下にお子さんが生まれることは皆さんよくご存知のことです。
そして、世間の注目は何と言っても生まれる子が男の子か女の子かということでしょう。

男女の産み分けができればよいのかもしれませんが、そんなことは実際にできるのでしょうか?
この研究に熱心なのは中国と言われています。
なんと言っても、一人っ子政策が始まってから、中国ではなんとしても男の子を産ませたい、と願う家族が多いとか。それなら、現実に、中国では男の子の出産数が増えているのでしょうか?

英国医学雑誌British Medical Journal の8月19日号では、中国の最近の出生数とその男女比が報告されました。

Ding QJ, Hesketh T.
Family size, fertility preferences, and sex ratio in China in the era of the one child family policy: results from national family planning and reproductive health survey.
BMJ. 2006 Aug 19;333(7564):371-3.

この研究では、Chinese cross sectional national family planning and reproductive health survey, 2001で得られた15-49歳の女性39,585人のデータを解析し、1979年から始まった一人っ子政策が出産、女性が考える好ましい家族の大きさ、性比に与える影響を調査した結果を報告しています。

この調査の結果、73202の妊娠により、56830人のお子さんが生まれました。
一人っ子政策が始まってから女性の平均出生数は2.9から35歳以上の女性では1.94に、35歳未満の女性では1.73に低下しました。また、35歳以上では田舎よりも都会の方が出生数が少ない傾向がみられました。(田舎で2.1、都会で1.4)

女性に比べた男性の比率は1980年代には1.11だったのが1996-2001年にはなんと1.23に上昇していました

また、出産数に関する意識の変化として、現在の大部分の女性は小さな家族を好むことがわかりました。
35%の女性は子供1人を、57%は2人の子供を望んでいました。

通常、男女の出生比は1.03から1.07とのことですから、この10年間において、いかに男性の出生率が上昇したかがわかると思います。

それでは、これは産み分けによるものなのでしょうか?

本研究の考察では、一人っ子政策の結果、もし一人目が男性であったなら、それ以上生むのをやめ、女性であったならもう一人目を生むことを考える人が多いのではないかということ。確かにこれなら、男性が増えるかもしれません。となると、男女の産み分けが可能かどうかは第一子のみで男女比を比較する必要がありそうです。

幸い、本研究では第一子の男女比も検討していました。
本研究の調査期間中全体の第一子の男女比は1.06であり、通常とほぼ同じという結果でした。しかしながら、田舎では男女比が1.05であったのに対し、都会では1.13であり、都会では予測値よりも男性の方が多いという結果でした。

とすると、都会では産み分け方法が発達しているため、男性の方が多く生まれるのでは?という考えもできそうです。

が、考察ではもう一点重要なことが指摘されています。それは、都会では、出生前診断により性を把握し、もし女性だった場合人工中絶する例もあるのではないか?ということです。

もちろん、これは法律に違反することであり、その実数を本論文では確認できていません。また、人工中絶の割合を都会と田舎で比べた結果は本論文には記載されていませんでした。

したがって、中国の都会では一人っ子政策実施以来、明らかに男性の出生数が増加していると言えますが、それが、いわゆる中国秘伝の産み分け方法によるものかどうかは未だ明らかではないということでしょう。

いずれにせよ、こうした政策により人口増加が抑制されたとしても、男性の数がどんどん多くなるという自然の理に反した結果が、今後の社会環境に影響をもたらさないのかどうかということが気になります。

今後、中国の男女比はどれだけ差がつくのでしょうか?そして、おそらく近い将来おこるであろう都会の嫁不足にどう対応していくのでしょうか?


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本当はこわい?起立性低血圧 将来の死亡と関連する?

一般に起立性低血圧というと、立った時に血圧が低下し、めまいや失神を引き起こす病態を言いますが、華奢な女性のイメージを思い浮かべる人が多いと思います。

実際、起立性低血圧は10歳代に多く、これといった原因がないのに、めまい、倦怠感等が続き、学校に行けないといった問題の原因になっていることもあります。(→詳細は「低血圧Suppot Group」のHP参照)

しかしながら、起立性低血圧が生命予後にも関係するかどうか(ようするに起立性低血圧がある人は早死にするかどうか)という点については明らかではありませんでした。

近年、高齢者の起立性低血圧には動脈硬化が関連することが報告されるようになり、少なくとも高齢者における起立性低血圧は、脳卒中や心筋梗塞の発症、および生命予後を悪くすることがわかってきましたが、より若い年代でどうなのかということについてはわかっていませんでした。

米国循環器専門誌Circulationの8月15日号では、Atherosclerosis Risk In Communities (ARIC) Studyにおいて、中年の起立性低血圧と死亡との関連を検討した結果が報告されました。

Rose KM, Eigenbrodt ML, Biga RL, Couper DJ, Light KC, Sharrett AR, Heiss G.
Orthostatic hypotension predicts mortality in middle-aged adults: the Atherosclerosis Risk In Communities (ARIC) Study.
Circulation. 2006 Aug 15;114(7):630-6.

この研究では、ARIC研究に参加した45~64歳の男女約14000人を対象としました。対象者にはベースライン時に起立性低血圧の有無を調査するとともに、その後13年間経過観察し、経過期間中の死亡と起立性低血圧との関連を前向きに検討しました。

ベースライン調査において、674人(5%)の人が起立負荷試験において、最大血圧値が20mmHgもしくは最低血圧値が10mmHg低下するという起立性低血圧の基準にあてはまりました。

起立性低血圧を有する人はそうでない人に比べて、男性、黒人、糖尿病、喫煙者の割合が高く、また平均年齢、血糖値などが高く、循環器疾患のリスクがより高い集団と考えられました。

13年間の追跡期間中、1693人の参加者が死亡しましたが、起立性低血圧がない人では全体の死亡率が12%だったのに対し、起立性低血圧がある人では32%の人が亡くなっていました。

年齢、性、人種を調整した後の起立性低血圧者の死亡に対する危険度はそうでない人の2.4倍でした。また、他の循環器疾患危険因子を調整した後に、危険度はやや低下しましたが、それでも1.7倍であり有意に死亡率を高くしていました。

死亡原因としては、特に循環器疾患による死亡の危険度が高く、2.0倍でしたが、癌による死亡のリスクの上昇とは明らかな関連はみられませんでした。

したがって、今回の結果から、中年における起立性低血圧は癌以外の疾患による死亡率の上昇と関連すると言えるでしょう。

起立性低血圧と死亡との関連については、喫煙、糖尿病等のその他の循環器疾患リスクファクターが関連している可能性もありますが、これらの因子を調整しても尚死亡との関連がみられたことから、今回測定できていない他の因子が関連している可能性が考えられます。

例えば、起立時の血圧調整には自律神経系の働きが重要ですが、こうした自律神経系機能の低下が死亡率と関係している可能性もあります。

いずれにせよ、中年以前においては、これまであまり生命予後には影響すると考えられていなかった起立性低血圧ですが、実は生命予後にも影響する病態である可能性が示唆されたわけです。

この結果が若年者にもあてはまるかどうかは明らかではありません。
しかしながら、実際には10歳代においても起立性低血圧者は多いわけですから、将来的にはこうした若い世代での生命予後との関連についても検討していく必要があるでしょう。

家庭血圧が普及し、血圧を測ることも多いと思いますが、
立位での血圧測定を行っている人は少ないと思います。
この機会に是非起立時の血圧測定を行ってみてはいかがでしょうか?
(起立負荷試験については大阪府立健康科学センターHPの自律神経機能検査という部分を参照して下さい)

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イエローストーンで天然温泉に入る

ミネソタ滞在もあとわずか、ということで、
米国滞在の記念にイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)に行ってきました。

個人的な一番の目的は、イエローストーン国立公園内にあるという、天然温泉に入ること!
実はミネソタに来てから、一度も天然温泉に入っていない!
米国中西部にはこうした温泉はほとんどないようなのです。

イエローストーン内にある温泉は川の中にあるということで、結構期待して行ってきました。

場所は、イエローストーンの北西部にあるマンモスホットスプリングスという町から公園北口に向かう途中にあります。マンモスホットスプリングスからだと、車で5分くらい、キャンプ場を抜けた後の右側を気にして走っていれば、駐車場が見えてきます(ただし、温泉ありとは書いていないので要注意)。

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マンモスホットスプリングから公園北口方面へ進み、こんな景色が見えてきたら温泉の入り口が近いです。
(写真に写っている川が実際の温泉の場所です。)


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駐車場の入り口すぐ近くにある看板。
北口から来る人にとってはこの看板を目安にするとよいでしょう。


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駐車場に繋がる道です。


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駐車場から温泉へのトレイル入り口をみたところ、この入り口を抜けた先に温泉があるはず…
訪れたのは午前中でしたが、駐車場には他に、3,4台車が止まっていました。


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入り口の案内板です。ここの温泉はこの時期朝5時から夜9時まで入れるようです。
拡大してみると、


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案内板には大きく”Boiling River Trail”の文字が!
どうやら、目的の温泉は、トレイルを歩いた先の川の合流部にあるようです。


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入り口を抜けると、すぐ左側にガーディナー川が見えます。この川の上流が目指す温泉です。
この川沿いにあるトレイルをずんずん歩きましょう。


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小さな橋を渡って


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左側に大きな岩がみえます(このあたりで温泉まで3分の1くらいでしょうか)


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さらにずんずん進むと


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遠くの川辺に湯気が立っているのが見えてきます。
期待度が一気に高まります。


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よく見ると、人が入っています。
ここで、まず間違いないようです。


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温泉の近くには、”Boiling River"の看板とともに、”DANGER!"の文字が見えます。
ここまで約10分の道のりでした。


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この川が、Boiling Riverです。
一見、ゆっくりと流れる小川という感じですが、
川から湯気が立っていることで相当熱いことが予想されます。
推定温度は50度以上!
この川がガーディナー川に合流するところがちょうど天然の露天風呂になるというわけです。


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合流部には、再びDANGERの看板が…


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合流部はちょっとした滝のようになっており、いわゆる滝つぼのあたりが、天然の露天風呂になるわけです。
見よ!この湯量!
温泉の掛け流しとはまさにこのことですね。


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川の左側が露天風呂です。


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下流から露天風呂をみるとこんな感じです。


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あー、極楽、極楽…

実際は、冷たい川の水も流れてくるので、ちょうどよい湯加減の場所を探す必要があります。
それを考えると、やはり夏に来るのが良いのかもしれません。
ただ、寒くなれば、湯気の量もすごく多くなるでしょうから、それもまた良しかもしれません。

そして日本人なら、やっぱり滝つぼに流れる熱ーいお湯を体験すべきでしょう。
(直接身体にあてるのはさすがに熱すぎますが…)

そんなこんなで、30分ほどは露天風呂を楽しみました。
が、先に来ていた外人さんは、自分が帰った後も帰る気配まったくなし!
最初から最後までずーっと、露天風呂に使っていました。

イエローストーンを訪れる温泉好きの方には、
是非、この野趣あふれる温泉を体験することをお勧めいたします。

それにしても、ここの温泉を訪れるのは一日に200人程度とか。
日本だったら、その10倍以上の人が訪れることでしょう。
きっと、お土産もの屋さんや、ホテルとかが川沿いに乱立しちゃうんだろうなぁ、
などと考えると、この温泉が米国にあって本当によかったと思うわけです。

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うつな気分は結婚で治る?

通常、結婚はストレスフルなライフイベントでも上位に位置するほどのストレスのはず?
なのですが、米国の研究によると、結婚は憂うつな気分を解消してくれる可能性が高いことが報告されました。
(ただし、まだ学会発表レベルの研究で、論文にはなっていないようです)

もっとも、この結果は研究を実施した研究者にとっても意外な結果だったようです。

American Sociological Association の年次集会で発表されたこの研究は、

3066人の男女を対象に、不眠、悲しみなどのうつ症状を、結婚前後に測定しました(ただし初婚のみ)。

その結果、特に結婚前にうつ症状を持っていた人では、結婚後のうつ症状が著明に減少していました。

研究者のWilliams博士によると、うつ傾向にある人では、心理的な親密さとか社会的な支援が必要であり、それが結婚によってもたらされるのでは、というように考えられるようです。

一方、結婚前にうつ症状がなった人では、むしろ逆にうつ症状が増加するという結果でした。

したがって、「もしあなたがうつ症状を持っていなくて、うつ症状を持っている人と結婚するということになったら、それはあまりよいことではないかもしれません。」と共同研究者は述べています(と記事になっていますが、本当にこんなこと言っていいのか?)

うーん。
最近目を引く研究があまりなくて、この研究は面白いと思ったのですが…
実際に論文になっていないので詳細はわかりませんが、これらの結果が単に「平均への回帰」でないことをきちんと調べてあるかどうかを確かめる必要はありそうです。

すなわち、もともとうつ症状の得点が高い人は、2回目の検査では得点が低くなる傾向があり、逆にもともと得点の低い人は、2回目の検査では得点が高くなる傾向になるのは疫学では周知の事実です。

したがって、結婚前後で検査を行う人と、同じ年代の人で結婚前後ではない人で同じ検査を行って、その差を見る必要があるのですが、この検討をしているかどうかは明らかではありません。

したがって、うつ症状のある人が結婚したからと言ってうつ症状がよくなるかどうかは、論文が出てから判断しても遅くはないと思います。

ところで最近、好きな音楽を歌ったり聴いたりすると、高齢者の性ホルモンの量が安定する効果があり、痴呆予防に応用できるのでは?との研究結果が出たという記事も目にしました。

この研究では、唾液中の性ホルモン量が定期的な音楽教室の参加後に多い人は減少、少ない人は逆に増加し、一定量に収束する傾向がありとのことでした。

これも、同じように単に平均への回帰を見ている可能性もあるわけです。

それにしても、この研究は月に1回2時間の音楽のみの効果をみているようですが、これのみで痴呆予防ができたらそれこそ音楽の効果は薬以上ということになりそうですね。
(つい、他の交絡要因を調べてみたら?と言いたくなってしまいます)

もちろん、個人的には音楽の心身への効果は十分にあると思っていますので、この報告についても論文で詳細が公表されるのを期待しましょう。


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ミネソタ観光情報 スティルウォーターショップ編 

先日に引き続きスティルウォーターの情報です。
観光編に続いてショップ編ということで、スティルウォーターのお店を簡単に紹介しましょう。

スティルウォーターのショップといえばなんと言ってもアンティーク屋さんが有名なのではないでしょうか?
古い町だけあって、Main St. (メインストリート)の両側にたくさんのアンティークショップやアンティークモールがあります。

トロリーバス乗り場から、メインストリートに出て右折し北にちょっと歩くと

Midtown Antiques Mall がまずあります。

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ここは、HPに"STILLWATER'S LARGEST" と書いてあるのですが、実際はそれ程大きくはないです。100以上のディーラーが入っているので、様々なアンティークを見ることができます。
お値段は高めですので、見るだけでも十分かも?

このモールのメインストリートをはさんで斜め前に見えるのが、
American Gothic Antiques です。

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ここは、アンティークがきれいにディスプレイされているので、Midtown Antiques Mallよりも好印象でした。
ここの2階には日本でも人気のファイヤーキングがまとまって陳列されているので、ファイヤーキングを探している人はここをのぞいてみるとよいでしょう(ただし、値段は高めだと思います)。

さらに、北に進んで再びメインストリートの反対側には、
Stillwater Antiques Mall があります。
ここは、品揃えも多いし、比較的きれいです。
ちなみにCitysearchによる、この店のRatingは 9.2で、Stillwaterの中では最も高得点でした。

さらにもっと北に進むと右手に昔の列車をレストランにした建物が見えてきます。
Minnesota Zephyrという名前のレストランです。
入ったことはありませんが、中にお土産物屋さんもあるし、HPをみると内部のレストランは外見と違って高級って感じです。

その道をはさんで反対側にもアンティークモールがあります(名前はMill Antiques)。
一見すると蔵のような建物ですが、中はとても広く見ごたえがあります。
他のアンティークモールは日曜日には夕方5時で閉まってしまうのですが、
ここは日曜日でも6時までやっています。個人的にはここが一番のお勧めです。

同じメインストリート上に、ミネソタの地元のワインを売っているお店があります。
Northern Vineyards Winery
賞を取った地元のワインやちょっと珍しい甘い赤ワインなど、
ほとんどのワインは試飲ができますので、ちょっと寄るだけでもお勧めです。
値段も10ドル~18ドルくらいのものが多いのでちょっとしたお土産にもよいでしょう。

ランチはというと、実際には先輩がどうしてもここに行きたいと言っていた(前述のワインショップとともに、どうやら地球の歩き方に載っていたらしい)
Lowell Inn のレストランにしか入ったことがないので、ここを一応紹介いたします。

場所はメインストリートの山側に一本入った2nd Street沿いにあります。

地球の歩き方には予約が必要とのことでしたが、平日のランチには予約は必要ありませんでした(というか、予約しない方が普通のような気がします)。服装も自分はジーンズだったのですが、全然問題なく入れました。周りを見回すと、地元の運動帰りという感じのおじいさんとおばあさんが短パンで入っていたので、少なくとも昼間は服装をあまり気にしなくてもよいのでしょう。

肝心のランチは、ここのホテルの特製サンドイッチ(ホテルの名前が入っています)と本日のスープを頼みました。値段はそれぞれ9ドルと3ドルくらい。
スープはかなり美味しかったです。サンドイッチは、いわゆるBLTサンドにチーズをかけて焼いてあるような感じで、かなりこってりしています。自分はOKだったのですが、先輩はちょっと脂っこいと言っていました。
サンドイッチは他にも数種類あり、値段も7ドルくらいからあると思います。

他にもミネソタに来たら食べた方がよいと言われるWalleyeという白身の魚とかパスタ類もあります。
ちなみに、ミネソタ特産?の食べ物というと、このWalleyeと黒くて繊維質の多いワイルドライスのようです。
こちらに来た先輩は飛行機の中でこの2つを隣の米国人にさかんに勧められたと言っていました。

ちなみに、ここのホテルの経営者はリバークルーズと一緒なので、リバークルーズのランチやディナーはもしかしたらここのホテルで提供しているのかもしれません(確証はないです)。

食後のデザートにお勧めなのが、地元で人気のアイスクリーム屋さんです(場所はさらに山側の方でちょっと離れてはいるのですが…)。

W Olive Street とN Greenley Streetとの交差点にあるこの Nelson's Drive Inn Dairy Store は、20種類以上のアイスクリームがあり、店の中はいつも列を作っているようです。Yahooの情報でも、Citysearchの情報でもその評価はとても高く、並んでも食べる価値があります(ただし、外見はどこにでもある古いアイス屋さんという感じ)。

シングルサイズが2.75ドルで、その他、ダブル、トリプルもありますが、日本人で1人で食べるつもりならシングルサイズ以外を頼まないほうが無難です。

ここのアイスクリームの量はシングルサイズで普通の軽く3倍以上の量があります。ワッフルで頼む場合、相当な量を短時間で食べきる覚悟がいります。カップで何人かでシェアして食べたほうが良いでしょう。もちろん、量だけでなく味もOKです。チョコレート、チョコチップもなかなかの美味しさでしたが、個人的にはコーヒー味が甘みも少し控えめで好みでした。

もし機会があったならStillwaterに宿泊するというのも良いかもしれません。
伝統とCity Hotelの良さを両方楽しみたい人には前述のLowell Inn がよいかと思いますが、昔の家等を改造してホテルにしているAnn Bean Mansion (築1878年)、Afton House Inn (築1867年)、William Sauntry Mansion (築1890年)などは、それぞれ個性的な部屋を持っているようでもあり、HPで部屋の様子をみればアンティークファンならずとも是非泊まりたい気持ちになるでしょう。

自分は行っていないのですが、スティルウォーターにはよいワインバーやレストランもかなりあるようです。こうしたところに泊まって、ゆっくりした時間を楽しむのもよいかもしれません。


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車のナンバープレートを手に入れる

米国の車のナンバープレートは州によって特徴があります。
ミネソタ州のナンバープレートは、真ん中に州の形のデザイン、そして下のほうには
「10,000 lakes」と記されています。
まさに10,000以上の湖をもつミネソタならではの表現だと思います。

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こちらに住んだ記念に、持ち帰りたいと思う人も中にはいるようですが、
ひょんなことから、このナンバープレートを手に入れることができました。

というのは、こちらでも日本と同様に毎年車の税金を納めなければなりません(約100ドルなので、日本よりは安いです)が、これを支払うと、支払ったという証明に、ナンバープレートに貼るシール(プレートの右下)が送られてきます。
このシールの色は毎年異なる(2005年は赤、2006年は黄色でした)ので、警察の人がすぐチェックできるようになっています。このシールをちゃんと貼っていないと、パトカーに止められてチェックされることがあるようで、実際に自分の同僚はいきなりパトカーに後ろにつかれて止められたと言っていました。

さて、今年も去年と同様にお金を支払い、シールが来るのを待っていたのですが、シールとともに届いたのはなんと新しいナンバープレート!

注文もしていないのに、しかも去年はシールだけだったのに、おかしいなあと思い、当局に問い合わせてみました。すると、米国では7年毎にナンバープレートを新しいものと交換しなけらばならないそうで、今回、自分の車がちょうどその7年目にあたったとのことでした(そういえば、1999年製!)。

ということで、写真のナンバープレートは新しいものと交換になり、手元には古いナンバープレートが残ったのでした。ちょうどこっちのナンバーに愛着があったので、記念として日本に持ち帰りたいと思います。

7年目の車というと日本ではかなり古い感じがしますが、こっちではまだまだ現役!という感じです。
こちらに留学される方は年式を選んで買えば簡単にナンバープレートが手に入ることでしょう(って、わざわざそんなことする人はいないと思いますが)。

ところで、ナンバープレートの数字をこっちの人は覚えないのか、先日、駐車場に車を止めた際にナンバープレートの数字をすぐに答えたら、びっくりされました(普通は覚えないよと言われてしまいました)。ナンバープレートの番号を覚えるのは日本人の特徴なのでしょうか?

実は、ちょうどよい年式の車を持っていない、もしくは新車しか乗らない、とい人でも、ナンバープレートを簡単に手に入れる方法はあります。

米国では、税金を支払う際に、数十ドル加えればホームページ上からいろいろなデザインのナンバープレートを手に入れることが出来ます。例えば、ミネソタの鳥をデザインしたものや、大学のロゴをデザインしたものもあります。これを購入すれば、古いナンバープレートは自分のものになるはず?です。(って自分では試していないけど、おそらくそうだと思います)

日本でも輸入雑貨屋さんなどで、時々米国の車のナンバープレートが売っていますが、おそらくこうしたものが流れて来ているのだと思うのですが…どうなんでしょうか?

詳しい方がいらっしゃれば情報をいただけたらと思います。


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ミネソタ観光情報 スティルウォーター観光編 

先週は大阪の先輩がミネソタへ観光に来られたので、数少ないミネソタの観光地を案内していました。

その中から、スティルウォーター(Stillwater)を紹介したいと思います。
ミネソタで最も古い町の一つで最初の入植者が住んだことで知られるスティルウォーターは、ミシシッピ川の支流であるセント・クロイ川(St. Croix River)の河畔にある町です。

川を渡ればウィスコンシン州です(逆に昔はウィスコンシン州から入植者が西に移動してきたわけです)。

ミネアポリスからですと北東方向、35Wから36号線に入って車で約30~40分のところにあり、半日程度の観光にお勧めです。

文字通り川がゆっくりと流れ、街並みもとても落ち着いており、時間がゆっくりと過ぎ去って行く感じがして個人的にも好きな町の一つです。数百メートルのメインストリートにはアンティークショップが立ち並び、アンティークファンならこのショップめぐりだけでも十分に楽しめるでしょう(ただし、お値段はやや高めですが)。

さて、スティルウォーターの観光はといいますと、

まずはやはり観光遊覧船でしょう。ディズニーランドの「マーク・トウェイン号」を彷彿させる昔風の遊覧船に乗れば、ゆっくりとした時間をより楽しめること間違いなし?(って、自分はまだ行っていないのですが、知り合いの話では…)

さらに、観光船に乗れば、Duluthほど大きな可動橋ではないですが、橋が上下に可動する様子を間近でみれます。


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普段はこんな感じの橋ですが、

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観光遊覧船が近づくと、徐々に上昇して、


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観光船が通れるってわけです。

昼の11時30分出航のランチクルーズで大人16.5ドル、子供13.5ドル。ランチ込みでこの値段なら納得できるでしょう。夕方や夜にはディナークルーズや生バンドの演奏が楽しめるクルーズ等もあるようです。

情報は St. Croix Boat and Packet のHPに詳しく載っています。

ちなみに、冬は川が凍ってしまうので、もちろん運行していません。

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冬の船着場はこんな感じです(閑散としていますが、川が凍っているのを見るのもなかなかいいかもしれません)。


時間に余裕のある人には、トロリーバスによる市内観光を是非お勧めします。所要時間は約45分。
実は、このトロリーバスに乗る前までは、スティルウォーターって見所が少ないなぁなんて思っていました。
これまではどうせたかが知れていると思って乗っていなかったのですが、先週の観光案内で乗ってみた結果、とっても楽しめることがわかりました。

最初は、運転手さんの自己紹介で始まり、観光客にどこから来たのか聞いてきます。その後、スティルウォーターの歴史を簡単に説明しながら、市内観光に出発です。

ミネソタで2番目に古いホテルであるLowell Inn の側を通り、昔の牢獄後などスティルウォーターのメインストリートを一通り案内。Lowell Inn は一度火事になってしまったそうですが、今でも十分にその歴史を感じさせてくれます。

その後、いきなり小高い丘へ急な坂を上り、川、橋、街並みが見下ろせる公園へ、その後は1800年代に立てられた古い家を中心に観光が進みます。

教会を改造した家、なんとティファニー製のステンドグラスをもつ教会、フランス人入植者の家、アイルランド人入植者の家、リンカーン大統領の従兄弟の家、ハリウッドスター(名前は忘れました)のご両親の家など歴史を感じさせ、かつ豪華な家を見学しながら、最後は町の南の小高い丘から再び川、橋、街並みを見下ろします。

そして、到着前にちょっとしたスリリングな体験があり、元の場所に戻ってきます。

お値段大人1人12.5ドルはやや高いかもしれませんが、最後にはお土産の絵葉書も1枚もらえるし、結構楽しめると思います。

トロリーバスは観光船乗り場の北側、小さい町ですのですぐ場所はわかります。トロリーバスの目の前にチケット売り場があり、5月から10月まで毎日運行しています。自分達は平日に行きましたが、11時、1時、2時には運行していました。

詳しい情報はStillwater Trolley Company のHPに載っています。

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これが、トロリーバスです(後ろからみたところ)。


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メインストリートの街並み


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丘の上の公園から可動橋を見下ろした景色


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トロリーバスツアーでは、こんな感じの1800年代の家がたくさんみれます。


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この教会のステンドグラスがティファニー製です。


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南側の丘から街並みを見下ろした景色です。

なかなかよい感じの町ということがわかっていただけたら嬉しいです。

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新しい危険因子は本当に役に立つのか?

医学の世界は日進月歩、常に新しい研究成果が多数論文にて報告されています。

心筋梗塞についても、従来は高血圧、喫煙、低HDLコレステロール等が心筋梗塞等の冠動脈疾患の危険度を増やす因子として報告され、最近はCRP(C反応性タンパク)等をはじめとする炎症性マーカー、および血液凝固線溶系マーカーが冠動脈疾患の予測因子であることが報告されてきました。

しかしながら、こうしたCRP等の新しいマーカーがどの程度冠動脈疾患の予測に有用であるかどうかについては、未だ明らかではありません。7月10日号の内科専門誌Archeives of Internal Medicineでは、私のボスでもあるProf. FolsomがARIC studyの結果を用いてこの問いに応える論文を発表しました。

Folsom AR, Chambless LE, Ballantyne CM, Coresh J, Heiss G, Wu KK, Boerwinkle E, Mosley TH Jr, Sorlie P, Diao G, Sharrett AR.
An assessment of incremental coronary risk prediction using C-reactive protein and other novel risk markers: the atherosclerosis risk in communities study.
Arch Intern Med. 2006 Jul 10;166(13):1368-73.

この研究は、米国の循環器疫学研究で有名なARIC (Atherosclerosis risk in community) studyの結果を用いて行われました。

ARIC study は地域住民男女15,792人を対象に1987年~1989年にベースライン調査を行い、現在までその後の冠動脈疾患、脳卒中等の追跡調査を実施しています。現在まで確認された19種類の危険因子(リスクファクター)が従来の危険因子を用いた予測に加えて、どの程度冠動脈疾患の予測に貢献できるかを調べました。

主な新しい危険因子としては、上述のCRPに加えて、リポタンパク関連フォスフォリパーゼA2、ホモシスティン、葉酸、クラミジア抗体、PAI-1、D-ダイマー、E-セレクチン等が報告されています。

しかしながら、本研究の結果、従来の危険因子(年齢、人種、性別、総・HDLコレステロールレベル、収縮期血圧、降圧薬使用、喫煙状況、糖尿病)を含む基本的なリスクファクターモデルで冠動脈疾患を良好に予測できると分かりました。

新しい危険因子が冠動脈疾患の予測に寄与する率は従来の危険因子を考慮すると、ごくわずかであり、したがって、本研究の結果からは、新しい危険因子をスクリーニングで測定する必要性はないと考えられました。

ARIC studyは白人と黒人の両方を含む地域住民における疫学研究であり、この結果は米国においてはよくあてはまる可能性があります。

一方、この結果をわが国にあてはめられるかどうかについては、危険因子の頻度が大きく違うため明らかではありません。わが国でも同様の研究が必要とされるでしょう。

それでは、新しい危険因子はまったく不要かというとそういうことではないと考えます。すなわち、全体のリスクを考えると、従来の危険因子で7~8割は説明できるのは確かですが、中には従来の危険因子を持たない発症者もいるからです。また、従来の危険因子をどの程度持っているかで新しい危険因子の重要性は変わる可能性もあります。

例えば、7月4日にAnnals of Internal Medicineに発表された下記の論文では、Women's Health Study の結果を用いてCRPの予測効果を検討した結果、中等度のリスクを持った女性では、CRPが従来の危険因子に加えて心血管疾患の予測に有用であることが報告されています。

Cook NR, Buring JE, Ridker PM.
The effect of including C-reactive protein in cardiovascular risk prediction models for women.
Ann Intern Med. 2006 Jul 4;145(1):21-9.

したがって、新しい危険因子は従来の危険因子をコントロールした後にこそ有用になる可能性があると考えられます。

すなわち、元々高血圧、喫煙、低HDLコレステロール、糖尿病などのリスクを持っている人は、まずこうしたリスクを減らすことが第一であり、その他のことを(例えば葉酸やビタミン類のサプリメント)を一生懸命行っても、その効果はごくわずかに過ぎないと言えるでしょう。

医学研究に代表されるように、常に新しいリスクの解明に力が注がれることが多い今日ではありますが、その前に、従来の危険因子をどのように減らすかが大事だと思います。

日本人の血圧はまだまだ欧米に比べて高く、肥満、高コレステロール血症、糖尿病の頻度は欧米の頻度に近づきつつあります。こうしたリスクをどのようにしたら減らせるのか、これには個人の教育はもちろんのこと、国家的な予防政策が必要です。

現在、厚生労働省はメタボリック・シンドロームの予防に力をいれていますが、こうした政策が本当に従来の危険因子を減らすことに寄与するかどうか、そしてさらに冠動脈疾患や脳卒中を減らすことに寄与するかどうか、その結果が注目されるでしょう。

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続 米国版わらしべ長者

4月にこのブログで米国版わらしべ長者を目指している人の話を取り上げましたが、
なんと、もう目標の1軒家を手にすることができたようです。

Yahooの記事に出ていたということはかなり注目されていたようです。

さて、この米国版わらしべ長者ですが、
昨年の7月に、最初は赤いクリップから出発して、今年4月の時点でフェニックスのアパートを1年間借りる権利を手に入れたところまできていました。

それから、それを人気の?ロック歌手アリス・クーパーと半日一緒にいられる権利に、
さらに、KISSのスノー・グローブ、ハリウッド映画に出演できる権利に換え、
そして最終的にカナダの一軒家を手に入れたということです。

それにしても、アリス・クーパーと一緒にいられる権利に換えたところまではよかったのですが、
その次の「KISSのスノー・グローブ」…って、これは何?
KISSがコンサートか何かで使った手袋?なんて思っていたら…

本人のブログをみると、なんと、よくクリスマスとかに売っている、水が入った丸いスノーボール(よく雪だるまとか入っているものです)でした。

こんなものに価値があるのか?と思っていると、やはり、ブログのコメント欄にでは非難の嵐、
元に戻ってしまったとか、KISSのスノー・グローブなんてe-bay(米国のネットオークション)で50ドル以下で売っているなどなどのコメントが…

ところが、これをCorbin Bernsen (コービン・バーンセン)氏がこの秋に撮影される「Donna on Demand」というタイトルのハリウッド映画に出演する権利(しかも台詞付き、滞在費、航空券代込み)と交換してくれる、ということになったようです。ちなみに、このコービン・バーンセン氏ですが、映画「メジャーリーグ」シリーズに出ていたようですが、自分は知りませんでした。

何故こんなものと交換してくれるの?というと、コービン・バーンセン氏はスノー・グローブの熱心なコレクターだからとのことですが、ブログ内で、スノー・グローブをコービン・バーンセン氏宛に送ると、直筆サイン付きの写真(ブログ作者、コービン・バーンセン氏、そしてKISSのスノー・グローブ)と交換してもらえるとの宣伝がちゃっかりされていました。

もしかしたら、この流れは既に出来上がっていた流れだったのか?と疑ってしまうほど、ラッキーな交換でした。

その後、カナダの家を手に入れるわけですが、
じゃあ、最初からKISSのスノー・グローブを手に入れていたら、早い段階で家が手に入ったのでは?なんて思ってしまいますが、もちろんそんなことはありえないでしょう。

フェニックスのアパートに1年間住む権利を手に入れた時点くらいで、家一軒が手に入るのは時間の問題だったような気がしますが、こうした流れを上手く作って、その流れに乗るのが大事だと思います。一度乗ってしまったら、あとは、まわりが盛り上げてくれるので(特にマスコミ関係)、話を少しドラマティックな方向に持っていけばOKってことでしょうか。

日本でも、マスコミに注目されていきなり有名になる人って多いと思いますが、その後、全員が人気を保っていられるわけではありません。ということで、むしろ、一躍有名になった彼がその後どういう方向に進むのかについて注目したいです。

ところで、最後の家を交換してくれたカナダのキプリング町ですが、ブログの本人を1日名誉町長に任命し、生涯名誉町民の称号を授けたり、また交換が成立した日を「One Red Paperclip Day」と宣言し、同氏の偉業に敬意を表して住民に赤いペーパークリップを身につけるよう奨励するとのこと。

これって、町おこしにでもするつもりなのでしょうか?世間に注目されなくなってからも「One Red Paperclip Day」が続くのかどうか、これまた注目です。


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今時の中高生は不眠が多いらしい

先日、切れる子供は睡眠不足かも?なる話をしたばかりですが、
先週大津で開催された日本睡眠学会の発表によると、
中高校生の4人に1人が不眠に悩んでいるとのことらしいです。

以下Yahooからの引用です。

 研究は、厚生労働省の研究班(主任研究者、林謙治・国立保健医療科学院次長)の調査の一環。04年12月~05年1月に、全国の中学131校、高校109校を無作為に抽出し、在校生に最近1カ月の睡眠状況や生活習慣、精神的健康度を質問した。回収数は約10万人(回収率64.8%)。

 不眠としたのは(1)なかなか寝付けない「入眠障害」(2)夜中に目が覚める「夜間覚醒(かくせい)」(3)朝早く目覚めて再び眠るのが難しい「早朝覚醒」――の3項目のうち一つ以上が当てはまった場合。その結果、不眠の割合は23.5%で、成人3030人を対象にした調査(1997年)の21.4%を上回った。

 入眠障害は14.8%で、成人の8.3%より6.5ポイントも高い。逆に、夜間覚醒は11.3%(成人15%)、早朝覚醒は5.5%(同8%)で、成人より低かった。

 不眠が多いのは▽男子▽精神的健康度が低い▽朝食を食べない▽飲酒習慣あり▽喫煙習慣あり▽部活動に不参加▽大学進学希望なし――などと答えた生徒だった。

以上引用終わり。

今回の発表は学会発表ですので、この結果を早く論文でみたいと思います。
データの信頼性は論文が出てから検証することにしても
今の子供達に入眠困難が多いのは驚きです。
我々が中高生の頃には、布団に入って数秒で眠ってしまっていたような気がしますが…

それと、不眠の要因の結果がなかなか面白いです。
ようするに夜遊びしている人?に不眠が多い?
先日の論文と同様に、生活習慣を規則正しくすることがやはり大事と言えるでしょう。

こうした研究では、是非今後も継続的に調査を行ってほしいです。

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葉酸は認知症予防に有用か?

今年の4月のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌において、葉酸とビタミンB6、B12の投与は血中ホモシスティン値を下げるが、心筋梗塞は予防しないという結果が出ました

したがって、ホモシスティンは原因ではなく、単に循環器系疾患発症の予測因子であるに過ぎない可能性が示唆されました。

一方、ホモシスティンが高い人ほど認知機能が低いという報告もあります。
例えば下記の論文では、血中ホモシスティン値が高いほどアルツハイマー病になる危険度が高いことを報告しています。

Seshadri S, Beiser A, Selhub J, Jacques PF, Rosenberg IH, D'Agostino RB, Wilson PW, Wolf PA.
Plasma homocysteine as a risk factor for dementia and Alzheimer's disease.
N Engl J Med. 2002 Feb 14;346(7):476-83.

それでは、葉酸やビタミンB6、B12を投与して血中ホモシスティン値を下げれば、認知症になるリスクを減らすことができるのでしょうか?

この疑問に応えた論文がニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌の6月29日号に発表されました。

McMahon JA, Green TJ, Skeaff CM, Knight RG, Mann JI, Williams SM.
A controlled trial of homocysteine lowering and cognitive performance.
N Engl J Med. 2006 Jun 29;354(26):2764-72.

この研究は、65歳以上の健常高齢者465人のうち、少なくとも血中のホモシスティン濃度が13ul/l以上であった276人を対象として行われました。

対象者を無作為にホモシスティンを低下させるためのサプリメント(葉酸:1000ug、ビタミンB12:500ug、ビタミンB6:10mg)を服用する群と、プラセボ(偽)薬を服用する群の2群に分け、2年間の介入を行いました。

その結果、サプリメント服用群では、投与6ヵ月後には葉酸、ビタミンB6、B12の血中濃度がプラセボ群よりも上昇し、血中ホモシスティン値が低下し、その状態が2年間持続しました。

介入1年後と2年後に認知機能検査を実施し、介入前の認知機能からの変化をみたところ、サプリメント服用群とプラセボ群との間には有意な認知機能の差はみられませんでした(むしろ、サプリメント服用群で一部の認知機能がより悪化した可能性あり)。

したがって、葉酸、ビタミンB6、B12を投与しても認知機能の低下は予防できない!可能性が高いと言えるでしょう。

今回の介入試験でも4月の論文と同様にサプリメントの服用によって血中ホモシスティン値の低下はみられています。それでも認知機能に変化がないということは、やはりホモシスティンは単なる認知機能低下のマーカーでしかない可能性が考えられます。

もっとも、本研究の対象者は健常高齢者であり、もともと認知機能の低下が少なかったことが結果に影響している可能性もあります。また、介入期間も2年間だけであり、認知機能をみるには短すぎる点も問題となるでしょう。

したがって、同じような結果が認知機能がやや低下している人達を対象としたり、もっと長期間の介入を行っても同様にみられるかどうかを確かめる必要はあると思われます。

つい先日、共同研究者の一人とホモシスティンの有用性について、「介入試験で心筋梗塞の予防効果は出なかったけど、認知機能は出るかも」などと話をしていたばかりだったのですが…

ちょっと…、いや、かなり残念な結果でした。

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不眠に効くのは睡眠薬?それとも認知行動療法?

前回に引き続いて睡眠の話題です。
年齢が上がるにつれて睡眠の質が悪くなる(いわゆる深い眠りの時間が少なくなる)ことは生理学的によく知られている事実です。
したがって、年齢が上がるにしたがって、不眠症の割合は多くなってきます。
睡眠薬を飲んでも眠れなーい!と訴える人も多いと思いますが、実際にどの程度睡眠薬は効くのでしょうか?

米国医師会雑誌JAMAの6月28日号では、一般的な不眠症に対して、睡眠薬と認知行動療法のどちらが有効であるかという無作為試験の結果が報告されました。

Cognitive Behavioral Therapy vs Zopiclone for Treatment of Chronic Primary Insomnia in Older Adults
A Randomized Controlled Trial
Børge Sivertsen, PsyD; Siri Omvik, et al.
JAMA. 2006;295:2851-2858

この研究では、睡眠薬、および認知行動療法が高齢者の慢性の不眠に対して短期的、長期的にどの程度の効果があるかを検討しました。

対象はノルウェーに住む平均年齢61歳の男女48人で、対象者は認知行動療法を受ける群18人、睡眠薬(Zopiclone;商品名アモバン)を服用する群18人、そして対照群12人(プラセボ薬のみ服用)に無作為に分けられました。

それぞれ、6週間の介入を受けた後、6ヵ月後まで睡眠の状態を経過観察しました。

睡眠は携帯型のポリソムノグラフィ(脳波、筋電図等により睡眠の状態を検査する装置)および睡眠日誌により日中の起きている時間、睡眠時間、睡眠の質などが評価されました。

認知行動療法は、毎週50分間のセッションによって、睡眠環境(光、音、温度のマネジメント)、睡眠習慣(就寝、起床時刻を一定にする)、睡眠促進(ベッドルームは睡眠のためだけに使うことなど)、認知療法、リラクゼーション等に関するトレーニングを受けました。

6週間の介入後、認知行動療法を受けた群は睡眠薬による治療を受けた群に比べて、睡眠に関する4つの指標のうち、3つがより改善していました。そして、睡眠薬群はプラセボ薬服用群とほとんど差がみられませんでした。

認知行動療法群では睡眠効率が81.4%から治療後に90.1%に改善していたのに対し、睡眠薬群では、82.3%から81.9%へ悪化していました。

また、認知行動療法群では睡眠薬群や対照群に比べて深い睡眠の時間がより多く得られ、夜間に目が覚める時間がより少なくなりました。

一方、睡眠時間については、3群間に差はみられませんでした。
さらに、認知行動療法群では、睡眠薬群に比べて治療終了6ヵ月後の睡眠効率もよいという結果でした。

したがって、認知行動療法は睡眠薬による治療に比べて、短期的、そして長期的にみても高齢者の不眠に対する治療としてより有効であったと言えるでしょう。

興味深いことに、認知行動療法では、脳波上にみられた睡眠の深さを示す指標(slow-wave sleep)が治療前後に63.1分から84.4分と改善していたのに対し、睡眠薬治療では76.8分から59.2分に悪化していました。尤も、睡眠薬の場合、その効能はあくまでも睡眠導入ですから、睡眠の深さにに関してはもともと期待はできないかもしれません。

それにしても、前回の睡眠に関する論文と同様に、睡眠の改善には、睡眠環境を整えたり、就寝時刻や起床時刻を一定にするといったことが重要であるという結果は、一般的には意外に思われる人も多いと思います。

実際に、睡眠薬に頼りきっている人も多いと思いますが、睡眠薬を飲む前に自分の睡眠環境、睡眠習慣等を整えることを考えるようにしてみては如何でしょうか?(医療費の節約にもなるし一石二鳥ですね)

もちろん、睡眠薬が睡眠を改善するという報告もありますし、本研究の結果は対象数も少なく限られた人を対象としていますので、すべての人に本研究の結果があてはまるわけではありません。

自分も、アモバンを医師国家試験前に、一度服用したことがあります。というのも、この頃、国家試験前は眠れなくなるから、睡眠薬を処方してもらった方がよいと先輩からアドバイスを受けたため、何種類か自分に合う睡眠薬を試してみたものです(結局、眠れないということはなく、睡眠薬は試しただけで済んでしまいましたが)。

で、感想はというと、とっても気持ちよく眠れましたし、起床後の感じもすっきりしていていい薬だなぁなんて思ったりしました。

ところが、朝食時に牛乳を飲んだら、牛乳の味がにがーい。
その時は、牛乳が変だと思っていたのですが、友人の中でも同じような経験をした人がいたので、
これは薬の副作用なのでは?ということになりました。(実際に、アモバンの使用上の注意事項に苦味が出ることは記載されています)。

まあ、副作用が出なければ使える薬だとは思いますが…

ところで、本研究が行われたノルウェーでは本研究で使われた睡眠薬(アモバン)が最もポピュラーな睡眠薬のようです。ここ10年間でノルウェーで使われた睡眠薬の内の45%を占めているということですから、相当使用されているようです。(日本でもよく処方される睡眠薬ではありますが、日本ではこれほどまでには使用されていないでしょう)

ということで、この研究の意外?な結果を受けて、処方量が減ってしまうかも…とやきもきする製薬会社の重役さん達の様子が目に浮かぶようです。

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切れる子供は睡眠不足?

近年、未成年者の凶悪犯罪数が増加しているというようなことが言われています。
また、切れる子供達の原因について、教育、食生活の面などから報告がされています。

そんな中、Journal of Adolescent Healthの6月号においては、睡眠不足と切れる子供との関連が報告されました。

The relationship between sleeping problems and aggression, anger, and impulsivity in a population of juvenile and young offenders
Ireland JL, Culpin V.
J Adolesc Health. 2006 Jun;38(6):649-55.

この研究では、暴力や交通違反などの犯罪により収監された少年184人を対象として行われました(平均年齢19歳の青年群104人、平均年齢16歳の少年群80人)。

対象者には収監前後の睡眠の量、質を聴取するとともに、攻撃性、衝動性、怒り等の心理的因子の評価が行われました。

その結果、睡眠の質、量と強く関連がみられたのは攻撃性で、衝動性や怒りとの関連はそれ程強くはみられませんでした。

攻撃性の下位尺度の中では、特に敵意性が睡眠と関係がみられました。敵意性の増加は睡眠不足、および睡眠の質の低下(中途覚醒、入眠困難等)と有意に関連していました。

ところで、本研究は横断研究であるため、因果関係については明らかではありません。
すなわち、本研究では敵意性の増加が睡眠不足や質の低下を予測すると解析されていますが、実際は、睡眠不足や質の低下が敵意性を予測するとも解釈できるわけです。

現実的には両方ありうると思います。イライラや敵意の持続は交感神経系を亢進させて、身体を興奮させ睡眠不足を引き起こす可能性があります。また、睡眠不足そのものも交感神経系の亢進を引き起こし、イライラの原因になる可能性もあります。したがって、これらは相互に影響しているのではないかと思われます。

一方、本研究では就寝時刻が一定でないこと、就寝前の喫煙、就寝前の運動はそれぞれ睡眠不足や睡眠の質の低下と関連することも報告されました。

敵意性そのものを減らすということは難しいですが、就寝時刻を一定にするとか、就寝前の行動を改善することによって、少しでも睡眠の質、量を改善させることは、敵意性、攻撃性といった切れる子供の誘引になる因子を減らす可能性は十分あると思います。

インターネットの普及や受験勉強などによって日本の子供達の睡眠時間が以前と比べて減ってきていることは、容易に推測できます。

したがって、食事や睡眠等の生活習慣を改善させることが、切れる子供達を減らすことができるかどうかの研究は日本においてこそ今後必要とされることでしょう。

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禁煙の看板などなど、ちょっと変わった風景

先日、セントポールから35Eを北に車で走っていたら、ちょっと変わった看板を発見!
急いで写真をとってみました。

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どうやら、禁煙サポートのための広告のようです。
よくみると、看板の幹の部分がタバコに、土台が灰皿になっています。
そうです!タバコをもみ消しているわけです。

近くで撮るともっとよくわかります。

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続いては、同じ日に通った小さな町にあった給水塔の写真。

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最初は、小さい町だけに、単に給水塔も小さいのかな?と思っていたのですが…

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近づいてみたら、なんとコーヒーを注ぐもの?
なかなか小粋な町でした。
(しかも、この給水塔のミニチュア版がしっかりお土産ものとして売っていました。
なかなか商売上手です)


最後に、近くの川の上流から流れてきたのは…

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なんと、車でした。
しかも人も乗っていて、葉巻を吸いながら上機嫌で運転していました。

水陸両用車ってわけですね。

ミネソタでの生活もあと少し…
ってことで、最近ではちょっと変わった風景があれば
なるべく写真に撮るようにしています。

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父の日にプレゼントを贈る人はどれくらいいるのか?

6月の第3日曜日は、「父の日」とのことですが、父の日って母の日に比べてとっても影がうすいと思います。

ウィキペディア(Wikipedia)によると、その由来は

「1910年にアメリカ・ワシントン州のJ.B.ドット夫人が、彼女を男手一つで自分をそだててくれた父を覚えて、教会の牧師にお願いして父の誕生月6月に父の日礼拝をしてもらったことが切っ掛けと言われている。当時すでに母の日が始まっていたため、彼女は父の日もあるべきだと考え、「母の日のように父に感謝する日を」と牧師協会へ嘆願して始まった。」

とのこと。

歴史からみても母の日があったからこそ出来た日であることには間違いないようです。
どうりで影が薄いわけです。

そんな父の日にどの位の人がプレゼントを贈っているのかアンケート調査が行われています。

インターネットコミュニティ「MyVoice」の登録メンバー16,910名(10歳代から50歳代以上まで)を対象とした調査によると

2004年の父の日に何かしてあげたり、してもらったりしましたか?

という質問に対して、何もしていないと答えた人は、

な、なんと47%!実に半分近くの人は何もしていないのです。

もらったもの(あげたもの)の第1位は衣類、そしてお酒、小物等が続くようです。

では、父の日にもらって嬉しいもの(あげて喜ばれたもの)の第1位はなにかというと、別のアンケート調査では、

1位 ネクタイ  
2位 お酒・ビール
3位 腕時計

なるほど、確かにもらって嬉しいものかもしれません。
(でもここでも、6位に「あげたことがない」が入っているのがさみしいです)

一方、同様の質問を母の日で行うと

1位 花  
2位 服・洋服
3位 バッグ

とういう結果になるようです。このあたりの男女差はなんとなく理解できます。

さらに、父親にとって父の日はどんな日であるかというアンケート調査では、

これまた、なんと半数以上の父親が「父の日をあまり意識しない」という回答でした。

これは、「何もしてもらえない」→「意識しなくなる」という関係なのでしょうか?
イソップ童話のすっぱいブドウの話を思い出しました。

自分の場合、父親には毎年何かしら贈っていますが、
子供達からはこれまでのところ何も届いてはおりません(肩たたき券すら…)。

とりあえず仲間がいっぱいいることがわかってよかった…。


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