本当はこわい?起立性低血圧 将来の死亡と関連する?
一般に起立性低血圧というと、立った時に血圧が低下し、めまいや失神を引き起こす病態を言いますが、華奢な女性のイメージを思い浮かべる人が多いと思います。
実際、起立性低血圧は10歳代に多く、これといった原因がないのに、めまい、倦怠感等が続き、学校に行けないといった問題の原因になっていることもあります。(→詳細は「低血圧Suppot Group」のHP参照)
しかしながら、起立性低血圧が生命予後にも関係するかどうか(ようするに起立性低血圧がある人は早死にするかどうか)という点については明らかではありませんでした。
近年、高齢者の起立性低血圧には動脈硬化が関連することが報告されるようになり、少なくとも高齢者における起立性低血圧は、脳卒中や心筋梗塞の発症、および生命予後を悪くすることがわかってきましたが、より若い年代でどうなのかということについてはわかっていませんでした。
米国循環器専門誌Circulationの8月15日号では、Atherosclerosis Risk In Communities (ARIC) Studyにおいて、中年の起立性低血圧と死亡との関連を検討した結果が報告されました。
この研究では、ARIC研究に参加した45~64歳の男女約14000人を対象としました。対象者にはベースライン時に起立性低血圧の有無を調査するとともに、その後13年間経過観察し、経過期間中の死亡と起立性低血圧との関連を前向きに検討しました。
ベースライン調査において、674人(5%)の人が起立負荷試験において、最大血圧値が20mmHgもしくは最低血圧値が10mmHg低下するという起立性低血圧の基準にあてはまりました。
起立性低血圧を有する人はそうでない人に比べて、男性、黒人、糖尿病、喫煙者の割合が高く、また平均年齢、血糖値などが高く、循環器疾患のリスクがより高い集団と考えられました。
13年間の追跡期間中、1693人の参加者が死亡しましたが、起立性低血圧がない人では全体の死亡率が12%だったのに対し、起立性低血圧がある人では32%の人が亡くなっていました。
年齢、性、人種を調整した後の起立性低血圧者の死亡に対する危険度はそうでない人の2.4倍でした。また、他の循環器疾患危険因子を調整した後に、危険度はやや低下しましたが、それでも1.7倍であり有意に死亡率を高くしていました。
死亡原因としては、特に循環器疾患による死亡の危険度が高く、2.0倍でしたが、癌による死亡のリスクの上昇とは明らかな関連はみられませんでした。
したがって、今回の結果から、中年における起立性低血圧は癌以外の疾患による死亡率の上昇と関連すると言えるでしょう。
起立性低血圧と死亡との関連については、喫煙、糖尿病等のその他の循環器疾患リスクファクターが関連している可能性もありますが、これらの因子を調整しても尚死亡との関連がみられたことから、今回測定できていない他の因子が関連している可能性が考えられます。
例えば、起立時の血圧調整には自律神経系の働きが重要ですが、こうした自律神経系機能の低下が死亡率と関係している可能性もあります。
いずれにせよ、中年以前においては、これまであまり生命予後には影響すると考えられていなかった起立性低血圧ですが、実は生命予後にも影響する病態である可能性が示唆されたわけです。
この結果が若年者にもあてはまるかどうかは明らかではありません。
しかしながら、実際には10歳代においても起立性低血圧者は多いわけですから、将来的にはこうした若い世代での生命予後との関連についても検討していく必要があるでしょう。
家庭血圧が普及し、血圧を測ることも多いと思いますが、
立位での血圧測定を行っている人は少ないと思います。
この機会に是非起立時の血圧測定を行ってみてはいかがでしょうか?
(起立負荷試験については大阪府立健康科学センターHPの自律神経機能検査という部分を参照して下さい)


Comments
こんにちは。私は最近ミネソタに北海道からやって参りました。膵島移植の研究をしております。観光地紹介、とても楽しく読ませていただきました。私もぜひ近いうちに出かけてみようと思います。
Posted by: 松本 | August 28, 2006 at 01:25 AM
コメント下さりありがとうございます。
ミネソタ大は膵移植のメッカと聞いておりますので、きっと充実した研究生活が送れることと思います。
土地は広いミネソタですが、日本人社会はとても狭い(どこかしらで繋がっています)ですので、きっとどこかでお会いできるでしょう。今後ともよろしくお願い致します。
Posted by: さいこそむ | August 31, 2006 at 07:03 AM
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Posted by: generic cialis | June 17, 2007 at 08:27 AM